EF63形機関車の証言
内容紹介
秋日和の土曜日の朝、M銀行浅草支店に強盗が入った。
グレーのコートを着、毛糸の頭巾をすっぽりかぶった男は、拳銃を一発、ぶっ放し、窓口の女子行員から1千万円を強奪して逃走している。
2時間後に、銀行内に備え付けてある5台の監視カメラがとらえた、犯人の写真が出来てきた。
警視庁捜査一課の亀井刑事と十津川警部の2人は、「奴ですよ。深見次郎ですよ。これは!」「そうだ。これは、深見だ」と断定した。
深見次郎は前科三犯で、5年前に郵便局強盗で刑務所入りし、最近、出所したばかりだった。
事件から3日目の夜、深見は見張りの刑事に捕まり、連行されてきた。
だが、深見次郎には、容易に崩せないアリバイがあった。
犯行の時刻、彼は上野発、長野行きの『あさま9号』の車中にいた。
しかも、横川駅のホームで『EF6321形機関車』をバックに写真まで写していた。
十津川も亀井も頭をかかえた……。
表題作ほか収録五編のどの作品も、トレインミステリーの醍醐味を味わわしてくれる。
収録リスト
- 短編:EF63形機関車の証言(『週刊小説』1983年10月21日号)
- 短編:見知らぬ時刻表(『週刊小説』1984年1月13日号)
- 短編:スキー列車殺人事件(『ブルーガイドSKI'85』1集~4集)
- 短編:江ノ電の中の目撃者(『週刊小説』1985年2月22日号)
- 短編:運河の見える駅で(『週刊小説』1986年1月10日号)
- 短編:西の終着駅の殺人(『週刊小説』1986年5月2日号)
刊行リスト
- 1986年06月:実業之日本社、ジョイ・ノベルス
- 1989年06月:角川書店、角川文庫
- 2013年07月:双葉社、双葉文庫
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