行先のない切符
内容紹介
ラッシュアワーで満員の電車が新橋に近づいた時である。 しなやかな細い指先が、巧みに藤原の前に立っていた男の内ポケットから、黒い皮財布をすり取るのを見た。 藤原の背筋を何ともいえない戦慄が走り過ぎたのである。 分厚い皮財布が見事にすり取られた瞬間、藤原を襲った快感。 これこそ藤原の生活を一変させる因だった―― 「行先のない切符」より
収録リスト
- 短編:夜の殺人者(『別冊小説宝石』1979年9月号)
- 短編:カードの城(『大衆文芸』1968年6月号)
- 短編:刑事(『大衆文芸』1969年4月号) ※初出時タイトル『告発』
- 短編:行先のない切符(『別冊問題小説』1975年秋季特別号)
- 短編:手を
拍 く猿(『大衆文芸』1968年2月号) - 短編:幻想の夏(『大衆文芸』1969年2月号)
- 短編:南神威島(『大衆文芸』1969年11月号)
- 短編:鳩(『推理界』1968年12月号)
刊行リスト
- 1983年09月:双葉社、フタバ・ノベルス
- 1986年06月:双葉社、双葉文庫
- 1999年04月:徳間書店、徳間文庫